外観は建物を印象づける大きな要素です。周囲の建物とのバランス、外部と内部の関わり方を考えながら、モダンな雰囲気を出しつつも日本人のもつ繊細さを醸し出すような美しい建物をつくっていきたいと思っています。
家族が集まる部屋は居心地の良さがもっとも大切です。庭の木々や空などの自然の景色が移り変わる様子が感じられる空間で、窓をあけると心地よい風が吹き抜けるような、そんな自然とのつながりを感じられる居心地の良い空間をつくっていきたいと考えます。
無垢のフローリングや土壁、自然石や畳のいぐさなど自然の感触を肌で感じられる空間はとても気持ちの良いものです。また、自然の素材は時が経つにつれ変化し深い味わいがでるとともに、素材の持つ蓄熱性や吸放湿性により心地よい環境をつくりあげてくれます。
キッチンの高さやシンクの大きさ、天板の素材や収納の配置など人によって使いやすいキッチンは異なります。メーカー品にないオリジナルのキッチンの制作も可能です。毎日使う場所ですから、料理をすることがもっと楽しくなるような機能的で使いやすいと思えるキッチンを建主と一緒に考えます。
収納スペースは多いにこしたことはないのですが、あればあっただけ物を詰め込むのもまた事実です。限られたスペースの中でリビングやダイニングなどをできるだけ広くとり、部屋をきれいに保つことを考えた場合、必要最小限+αくらいの適度な収納量とし、そこに納まらないものは捨てるという潔さをもって生活することもとても大切だと思っています。
趣味の空間はとても楽しいものです。好きな車を室内から眺められるガレージスペース、バーベキューができる屋外デッキテラス、お茶事を楽しむことができる本格的な茶室、みんなで料理が楽しめるアイランドキッチンなど、建主の趣味が家をつくるときにも、とても大きな要素になってきます。建主の趣味を大切にしながら暮らしを楽しめる空間づくりをしていきます。
なんでも既製品でことたりる時代になってしまいましたが、そんな時代だからこそ職人さん達の手仕事による一品物もとても味わい深く良いものです。現場で腕の良い大工さんの仕事を見ていると、そのあまりの正確さと手際の良さに惚れ惚れすることがあります。そうした職人さんたちの力をかりて、キッチンや机などは家具職人さん、洗面器や照明器具は陶芸作家さんや金物家さん、壁の左官塗りや土間のたたきなどは左官職人さんなど、既製品に頼りすぎず、職人さん達の手仕事を感じられるものを多く使っていければと考えています。
昼間の太陽光に近い蛍光灯のあかりは人を活発に行動させ、夕日の色に近い電球色のあかりは人の心を落ち着かせる光だと言われています。住宅には電球色の温かみのある光源を使い、明るすぎず落ち着いた雰囲気を演出したいと考えます。また、照明の配置次第で空間の雰囲気が一変します。ペンダントや照明スタンド、間接光などを上手に使いながら、落ち着きがあり温かみのある空間をつくっていきます。
建物をみるとき、トイレをみると設計者の能力がある程度わかるということを聞いたことがあります。トイレまでこだわりをもって居心地の良い空間を設計できる設計者は建物すべてに目が行き届いているという証拠になるそうです。自分も建物の隅々まで気を配りながら細部までこだわり、心地よい空間を設計できるよう心がけています。
心地よさは壁や床の表面温度、空気の温湿度、風速、音などが気持ち良いという感覚にとても影響します。いくら素敵な空間でも、冬に凍えるような寒さでは気持ち良いとは思えません。逆に部屋の隅々までポカポカに暖かければ、外の寒さも心地よく感じます。目に見えない部分までデザインすることで、居心地の良い空間をつくります。